2016年10月15日(土)渋谷O-crestにて、QOOLAND5周年企画“本気で演りたい”が開催された。共演にThe Floorとフィッシュライフを迎え、記念すべき夜を刻んだ。
The Floorが持ち前の爽やかさと明るさで会場を温めたかと思うと、フィッシュライフは3ピースとは思えない音圧で観客を圧倒した。QOOLANDを迎える準備は万端だ。
SEが鳴りQOOLANDが登場すると、歓声があがり暖かい拍手に会場が包まれた。幕開けの曲となったのはファンと一緒に作りあげたアルバムのリード曲である「Come Together」。フロアに響き渡るクラップの勢いに、観客の熱気が1曲目から最高潮であることが伺える。
5周年を迎えた今日は「誰でもいいなら きみがいい」という「Shining Sherry」の歌詞が、より一層強く響く。その後もキラーチューンである「熊とフナムシ」、「ドグラマグラ」と曲は続いていく。
「この日、この場所を選んでくれたあなたたちに!」という菅(Ba)の叫びにより導かれたのは「セレクト」。10月15日にQOOLANDを選んだ観客の顔を1人ずつ目に焼き付けるように演奏する、メンバーの姿が印象的だった。
間奏部分のセッションがエモーショナルな「I hate」、曲終わりの単音が切なく響く「片道4100円」と導かれていく。平井(Gt/Vo)の弾き語りで始まったのは「風の歌」。穏やかな歌詞と激情的な演奏が対照的な曲で、その勢いは後半戦を迎えても留まるところをしらない。
「大切に歌います。」という平井の宣言により始まったのは、バンドをやる1週間を曲に落とし込んだ「week」。数えきれないほどの週を越え、5周年という今日を迎えた彼らだからこそ唄える曲だろう。
バンド当初より歌い続けている「白夜行」の曲名がコールされると、空気が一瞬止まった。長い間愛されてきた曲の披露に、多くの観客が一緒に口ずさみ少しでも近くへとその手を伸ばす。クリックで導かれたのは「言えない人が言えてたら」。平井の甘く優しい声が会場を包み込む。
この日初披露された「夜のやり方」は、パワフルなドラムとベースが特徴的な新曲。「何かを伝えるために走ることにした」という歌詞は、失速を許すことなく前を向いて走っていくと決めたQOOLANDの決意そのものだった。
「勝つまでが戦争」が始まると「これを待っていた!」と、ファンの表情が一気に輝く。彼らの代名詞であるタッピングがこれでもかと鳴り響き、菅のシャウトも会場の隅々まで響き渡る。
ラストの曲を前に、平井の口から「12月にユニバーサルミュージックよりメジャーデビューします。」との報告があり歓声があがった。嵐のような拍手が鳴り続け、嬉しさに泣き出すファンも現れた。QOOLANDが愛されていることを再認識せずにはいられない暖かさだった。
トリの1曲となったのは、今年の“ROCK IN JAPAN FESTIVAL”で初披露された「凛として平気」。ひたむきな前向きさがこれでもかと刻み込まれた曲で、無駄も無理も打ち砕いてきた彼らの決意がひしひしと伝わった。
平井が「これが、新宿から来たQOOLANDというバンドです!」と叫び、終幕となった。しかし、彼らが去った後も拍手は鳴り響いた。アンコールを飾ったのはグルーブの効いたセッションで始まる「ゆとり教育概論」と、爽やかなリフが響く「Today Today Today & Yesterday」。これぞQOOLANDという演奏をこれでもかと魅せつけ、全16曲を完奏しきった。
多くの紆余曲折を乗り越え5周年を迎えたQOOLAND。5年間で455本というライブ本数は、彼らが音楽と向き合い音楽を届けようとした軌跡だ。進み続けることを辞めない彼らは、12月13日(火)に“QOOLANDインディーズ最後の日”と銘打ったワンマンライブも決定している。「何かを残すために走ることにした」彼らから今後も目が離せない。
[セットリスト]
01. Come Together
02. Shining Sherry
03. 熊とフナムシ
04. ドグラマグラ
05. セレクト(うーっはーっ!!)
06. I hate
07. 片道4100円
08. 風の歌(新曲)
09. week
10. 白夜行
11. 言えない人が言えてたら
12. 夜のやり方(新曲)
13. 勝つまでが戦争
14. 凛として平気(新曲)
En. ゆとり教育概論
En. Today Today Today & Yesterday
QOOLAND / Photo by 中磯ヨシオ(@tarururutu)
[中磯ヨシオ プロフィール]
アーティストの映像・写真撮りを中心に活動。
撮られる者の感情を切り取ったアートワークに定評がある。