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M.3「片道4,100円」

バンド自身がドラマチック

――3曲目はシングルでもリリースされた「片道4,100円」。この曲は上京したときの実体験?

平井大阪から東京に夜行バスで出てきたとき、帰るつもりはなかったので片道4,100円で十分だったんです。バンドのために出ていったんですけど、しっかり統制が取れたわけでもないし、何か地力があるわけでもないので、疑ったままの歌を頼りにやってきたという歌です。結局一度あえなく崩壊しましたが、QOOLANDを一生懸命やっていったら、ちょっとずつ何かが変わってきたなと感じるようなことが増えて、ようやく最後を締めくくるフレーズが書けたんです。

あれ~から~一つずつ~やり~直して~♪

平井歌ってくれてうれしいねんけど……(笑)。

アーン!

――サビが前身バンドの楽曲、「太宰治」ですよね。

平井「太宰治」は好きだったんですけど、未完成なものだと思っていたので、QOOLANDを始めてからも弾き語りを収録したCDで歌うとかいろいろ試行錯誤したんです。ちゃんと作り上げたかったのに、どうもしっくりくるものが出来なくて。それがようやく出来たと感じられたので、「太宰治」よりは確実に「片道4,100円」のほうが完成度が高いですね。「太宰治」のサビに導いていって、それを継承して曲が終わる。ナイス・ライティングだと思っています。

ナイス・ライティーング!

――過去の曲と関連して作ることって多いですよね。

平井“歌舞伎町の歌を書いても買う人がいない”っていう歌詞は、「ブギーサウンド」の最後に出てくる“あの日歌った歌舞伎町”で、その歌が「犬」っていう曲なんです。『街と大都市』はフィクションが少なくて、リアリスティックなアルバムですね。極端な話、このバンドってずっとバンドをやっているんですよ。年間100本くらいのライブをやってリリースもたくさんしているから、バンドをやっていない日がないくらい。だからバンド自身がドラマチックだなと思うんですよね。一日中寝て1ヶ月に1回だけライブをしていたらドラマはたぶんないですし。

バンドのドラマはないな。

川﨑日常がバンドってすごいですよね。家にいるときが日常じゃない。

タカギ晧平(Dr)

タカギそれがすごいなと、たまにハッと思うときがあります。

平井雪害事件がでかかったと思うんですよ。今年の2月、心斎橋でレコ発があった日に雪が日本中で降って、僕らもその弊害を受けまして。東京から車で8時間かけても新横浜辺りまでしか行けなかったんです。それでスタッフとみんなで荷物を持って、車を乗り捨てて6人で往復13~14万くらいかけて、新幹線で行きました。そしたらライブ中すごく泣いてるお客さんがおって、あのとき、バンドが上手くいっているなってめっちゃ思ったんですよね。

川﨑それができるバンドだっていうのはうれしかったですね。「雪で行けないので出演中止します」って言っているバンドがいるなかでも行こうとして、途中で止まっても、お金をどれだけかけてでも手段を使って行こうとした。

新幹線に乗るまでに奇跡みたいなこともありましたし。新幹線の駅に行くにも道がなかったんですけど、そこにあった小道に突っ込んで、でかい通りを抜ければ駅のほうに行けそうだったから懸けてみようかと。もし足を取られて動けなくなっちゃったら、みんなで押すぞと。意を決して「どっけー!」みたいな感じでバコーンって突っ込んでいったんです。そしたら案の定足を取られて動けなくなって、雪かきしていた村民たちにスコップを借りてなんとか動かそうとしたけど全然ダメで。半泣きになりながらやってたら、完全にラリー仕様みたいなすごい車が来て、おっちゃんが「どうしたの、動けなくなったの? 大変だね。牽引してやるよ」って。それでバーンって引っ張ってもらって「うわーー!」って言いながら抜け出したんです。

川﨑菅さん、泣きそうになってました(笑)。

俺がずっと運転してたから、責任持ってどうにかしなきゃと思ってたんだよね。

川﨑あの瞬間、これは大阪行けるなという確信がありましたね。あれは確かにドラマだったな。

平井そのあとも良いことが続いたんですよ。次の週にオリコンのチャートが発表されて、『教室、千切る.ep』がインディーズ・チャートで9位に入ったんです。ちょうどそのときに「片道4,100円」の最後のところが書たんですよね、“あれから一つずつやり直して”って。“雪かき村”(雪害事件)とチャートインのふたつの出来事があって書けた歌だと思います。

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松井 恵梨菜
  • 松井 恵梨菜
本業である音楽関係の雑誌編集に忙殺されながらも、ライターを目指して勉強中。"ETERNAL ROCK CITY.2012"オフィシャルライターなどの経験あり。難しい評論ではなく、心に伝わる文章が書けるようになりたいです。通称"ぴよ"。
  • 鈴木 "もぐら" 悠太郎
1986年 神奈川県生まれ 通称"もぐら"
ライブハウスでの撮影をはじめ、2013年にはFUJI ROCK FESTIVALや朝霧JAMといった大型フェスの撮影も担当するなど活躍の場を広げている。またライブや音楽イベントのみならず、風景やポートレートなど幅広く撮影中。