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叫びたくなるくらい譲れない音楽へのこだわり

――作詞作曲はキイチさんが担当されているとのことですが、音楽は考えるタイプですか? 降ってくるタイプですか?

キイチどっちもです。頭の中で常に音楽が流れているので、曲はすぐにできるんですけど歌詞は時間がかかるんですよ。ただ作品を作るうえでいちばん大切にしているのは語感なので、どっちかだけを作っておくことはしないようにしています。それによって、メロディと歌詞の癒着具合が変わってくると思うので。「この単語使いたいな」という言葉があったら、それに合わせてメロディを変えていったりもしますし。同時に何曲も並行して進めるんですけど、最後までたどり着く曲はほんの少し。発表していない曲もたくさんあります。

――古い音楽のオマージュとかもされたりしますか?

キイチ実はあるんですよ。「ハンモック」は、わかりやすくサンプリングしてます。サビはSUGAR BABEの「DOWN TOWN」のイントロのリフをそのまま持って来ちゃってるし、後半の“ロックザハンモック”はイギリスのパンクバンド、The Clashの「Rock the Casbah」をそのまんま……(笑)。最初は遊びで作っていた曲だからっていうのもあるんですけど。

――曲を作る上で、譲れないことってなんでしょうか。

キイチ思ってないことは書きたくないので、歌詞は完全に嘘なしにしてます。普段使わないような難しい言葉も使わないです。本当にありのまま。ただつまらないものは作りたくないです。メロディも誰かが簡単に作れるようなものはなるべく作りたくなくて。「パウエル」もあまり使わないコード進行をサビで使っていたりします。探究心は強い方なので、新しいものを発掘していきたいですし、使い古されたものを使いまわすこともしないようにしようかなと思ってます。「みんなの耳には聴きやすいけど、実はちょっと変わったことをやっている」っていうのがテーマです。語感も歌詞もメロディも全部大事すぎて「あー!」ってなっちゃう(笑)。全部譲れないんです。

――キイチさんの歌詞は基本的に明るくないですよね。先ほど「嘘はつきたくないし本当のことしか書きたくないし」というお話があったかと思うのですが、暗さがキイチさんの本質ということですか。

キイチ情緒が……(笑)。テンションの起伏が激しくて、すぐに落ち込んじゃうタイプなんです。繊細というか、めんどくさいやつというか(笑)。お酒を呑んでたら楽しいんだけどなぁ……。常に置いてけぼり感というか……、孤独感や焦燥感を感じて生きてます。それを歌詞にしてるって感じです。

タフネスもしキイチがサラリーマンとして生きていたら大変かもしれないんですけど、彼はそういう負のエネルギーから曲を作れるからね(笑)。

キイチそう! だからもっと不幸にならなきゃな、って(笑)。もっと不幸にならないと、追い込んでいかないといい曲が書けないので。無茶しないとね。

――曲を明るくする分、歌詞をネガティブにしているような節はあるのでしょうか。

キイチあります。メロディが暗くて歌詞も暗い曲だとただの暗い曲だし、逆に明るい・明るいでもただの明るい曲になっちゃう。だからといってメロディが暗くて歌詞が明るい曲も意味がわからないなと思って。歌詞が暗くてメロディが明るいっていうのがいちばん僕のなかでしっくり来たんです。すごく切なくないですか? 空元気さを感じるというか……。メロディに関しては、すごくキャッチーなものを作りたいなってずっと思ってるけど、歌詞は僕の暗いところを出していきたい。どん底っぽい投げやりな感じとか。だから、歌詞だけを読むとすごくロックだと思います。

――キイチビールを聴いてる人たちは多幸感を求めてると思うんですけど、演者が焦燥感を感じてるって面白いですね。

キイチメロディで興味を持ってもらえたらいいなっていうのはあって。後から歌詞を知った時に、自身の孤独な部分と照らし合わせてハマってもらえたら嬉しいです。
自分がしんどい時に聴いて救われてきた、The ピーズみたいな曲を作っていきたいって思ってるので。結局、僕は自分が聴きたいから曲を作ってるんですけどね(笑)。酔っ払って家に帰って、YouTubeで「パウエル」のMVを見ながら「めっちゃいい曲!」って泣くみたいな。

――自分の曲を自分が愛してるっていちばんいいことですよね。

キイチそれがいちばんでも大事なのかもなって。

――音楽だけ聴いてると昼下がりに友達とビールを飲みながら聴くバンドのイメージだったのですが、お話を聞いているとそういうバンドではないですよね。

キイチそうです。平日の昼間に仕事とか学校をサボって、エアコンガンガンの汚い部屋で風邪を引きそうになりながらビールを飲むバンドです(笑)。太陽の下ではないかなぁ……。

駄目だったとしても自信をなくすとかはなかった

――今年の夏は“ROCK IN JAPAN FESTIVAL”や“SUMMER SONIC”に出演していましたよね。

キイチ超自慢です(笑)。親でもわかるくらい、わかりやすく自慢できるので。8月は2週間連続でフェスに出演したので、本当に楽しかったですね。気持ちよかったなー。

タフネスステージ上から見た客席の映像はYouTubeで見たことあったけど、生で見ると「わぁっ!」って。膿汁が溢れだしました。

――大型フェスに出演して心境の変化はありましたか。

キイチあまりないです。本番のライブもリラックスしてできましたし、ライブハウスでライブするときと同じ気持ちでやっていたので。ただ、大きいフェスに出させてもらえたことで、もっと気を引き締めなきゃなっていう思いはあります。

タフネス今回は出演したといっても新人枠だし。ちゃんと呼んでもらって出られるようになりたいです。

――両方オーディションを勝ち抜いての出演だったかと思うのですが、「今年はいける!」といった感触はあったのでしょうか。

キイチ半々くらい? 曲に自信はあったんですけど、それがオーディションだとどうかなっていう不安はありました。

タフネス俺もいくんじゃない? とは思っていたけど、応募総数にはちょっとびびりました(笑)。

キイチでも、どっちもいけてよかったよね。駄目だったとしても自信を無くすとかはなかったと思いますけど。

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坂井 彩花
  • 坂井 彩花
元楽器屋のお姉さんの経験を持つ音楽ライター。感情に働きかける文章が得意。中高で吹奏楽部、大学で軽音楽部に所属していた典型的な音楽だいすきっ子。積極的にいろいろなライブに出向いてはライブレポート等を書いている。
  • 鈴木 "もぐら" 悠太郎
1986年 神奈川県生まれ 通称"もぐら"
ライブハウスでの撮影をはじめ、2013年にはFUJI ROCK FESTIVALや朝霧JAMといった大型フェスの撮影も担当するなど活躍の場を広げている。またライブや音楽イベントのみならず、風景やポートレートなど幅広く撮影中。