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最近の音楽シーンが二分化しているように感じるのは私だけだろうか。ひとつはフェスなどで盛り上がる娯楽性の強い音楽、もうひとつは音楽玄人と呼ばれる人が好きな文化性の強い音楽だ。「娯楽性、文化性共に満たすバンドがあるか」と訊かれたら、瞬時に答えられる自信が私にはない。

しかし、今回インタビューしたキイチビール&ザ・ホーリーティッツは、そのような空気を感じるバンドだった。10月9日にミニアルバム『世の中のことわからない』を発売した彼らの素顔に迫っていきたいと思う。

[メンバー] キイチビール(Vo/Gt)KD(Cho)橋本=タフネス=樹(Ba/Cho)りょう(Key)タカヒロ(Dr)
[取材・文] 坂井 彩花
[写真] 南風子

俺とビールと爆乳と

――“キイチビール&ザ・ホーリーティッツ”は2017年に入ってから、お名前をたくさん見るようになりました。

キイチ今年の1月に「ハンモック」、3月に「パウエル」のMVを公開して少しずつバンド名が浸透していった感じです。ライブ自体は昨年も一生懸命やってたんですよ。12月は8本とかライブしてたし(笑)。あの頃は、お客さんがゼロの日もあって結構しんどかったなぁ……。

タフネス「パウエル」を出したあとくらいから、「お客さんいる!」っていう感じに変わったよね。

キイチそうだね、それまでに上がっていたMVはライブ前に作った「キイチビールのテーマ」、初ライブ映像の「かっぱえびせん」と雰囲気がゆるかったんですよ。そこに来ての「パウエル」だったので、パッと印象に残ったのかなと思います。

――そもそも“キイチビール&ザ・ホーリーティッツ”は、どのような経緯で結成されたバンドなのでしょうか。

キイチ僕、就活をしたくなくて悩んでたんですよ。その時にタフネスとスタジオに入って、彼が弾いたコードに僕がメロディと歌詞を乗っけるっていう遊びをやったんです。そしたらタフネスがめっちゃ褒めてくれて、「もしかしたら自分は曲がつくれるかもしれない」ってことに気がついて。「これだ!」と思ったので、ほとんど曲がない状態でメンバーを説得して結成しました。当時はジャズ研でウッドベースを弾いてたので、ギターを急いで買いました(笑)。

――コーラス単体の方がいるバンドって珍しいですよね。

キイチコーラスがほしいっていうのもあったんですけど、KDとバンドを組みたかったんです。彼女は耳がいいし、僕と趣味も近いから。楽器を弾いていない分、客観的にバンドアレンジを見られるメンバーでもあるのですごく重要な役割を果たしてくれてます。

――“キイチビール&ザ・ホーリーティッツ”っていうバンド名も面白いですよね。

キイチビールが好きっていうのもあるんですけど、ザ・ユウヒーズの1stアルバム『ユウヒビール』がすごく好きで。それからインスピレーションを受けて“キイチビール”ってしました。自分の名前だし語感もいいし、いいなぁと思って。でも、それだけだと自分の名前になってしまうので、“ザなんとか”にしてバンドっぽくしようと。ホーリーティッツは、意味としては爆乳なんです(笑)。海外のとあるサイトを見てた時に、コメント欄に“ホーリーティッツ”って発見して「これだ!」って。カタカナで“キイチビール&ザ・ホーリーティッツ”って書いたときに、これしかないと思いました。俺とビールと爆乳と、っていう好きなものを並べたバンド名になりました。

ポップの陰に潜む、それぞれのルーツ

――先ほどザ・ユウヒーズの名前があがりましたが、どのようなアーティストから音楽の影響を受けているのでしょうか。

キイチ音楽のルーツは、メンバーみんなバラバラなんですよ。僕は親の影響で、日本の良いポップミュージックを聴いて育ちました。中学・高校では日本のロックをたくさん聴いてました。今の自分の音楽の根底を作ったのは、この時期じゃないかな。大学でジャズ研に入ったのをきっかけに、ジャズを本格的に聴き始めて理論とかを勉強しました。タフネスは?

タフネスいろいろと周りの影響を受けてます。最初は親が車で聴いていた宇多田ヒカルから始まり、中学に入って日本のバンドを聴き始めて。ベースは高校に入ってから始めました。高校生の頃は「速い演奏の方がかっこいいじゃん」って、フュージョンばかり聴いていたんですけど、大学に入ってからはソウルやR&Bを聴いていました。だから、けっこう音楽歴はバラバラなんんですよね(笑)。

――KDさんは、いかがですか。

KD私もけっこう雑食なんですけど、キイチ君と一緒でThe ピーズは好きです。小学校の頃は世代的に、モーニング娘。を聴いてましたね。大学でブラックミュージックのサークルに入ったので、そこからソウルフルな歌を聴き始めて。もともと好きな音楽の感じはキイチ君の歌やメロディに近かったので、「バンドやろう!」って誘われた時は「やる!」って即答でした(笑)。

キイチKDとは、ゆらゆら帝国やThe ピーズの話で仲良くなったんで。

――たかひろさんは、いかがですか。

タカヒロ小さい頃は親の影響でウルフルズやスピッツを聴いていました。中学生になってからは、友達から教わったELLEGARDENとかのバンド系を。シンガーソングライターも好きなので、秦基博さんや山崎まさよしさんも好きです。大学に入ってからは、ジャズをたくさん。昔からずっと聴いていた音楽は変わらず好きなんですけど、少しずつ好きなジャンルは広がっているような気がします。フュージョンも好きだし、メタルも好き。いろいろと広く浅くみたいな感じです。割り合い的には、今の自分を形作ってるのは小さい頃に親しんだウルフルズやスピッツみたいな親しみやすい音楽が大きいです。

――りょうさんは、いかがですか。

りょう僕は元々、ガチガチのクラシック勢で作曲をずっと勉強してたんです。大学2年生ごろまでは現代音楽の道へ進もうと思ってたんですけど、ジャズ研究会に入り、ジャズをはじめとする様々な音楽に触れて、現代音楽の世界に少し価値観の偏りを感じるようになりました。そんな時にキイチさんに「一緒にバンドやらない?」と誘われて(笑)。バンドではキイチビールの音楽とはどういうことなのかを自分なりに考えて作ってます。二酸化炭素のような、あまり気にされないけど無いと生きていけないような音を出せれば良いなと思ってます。

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坂井 彩花
  • 坂井 彩花
元楽器屋のお姉さんの経験を持つ音楽ライター。感情に働きかける文章が得意。中高で吹奏楽部、大学で軽音楽部に所属していた典型的な音楽だいすきっ子。積極的にいろいろなライブに出向いてはライブレポート等を書いている。
  • 鈴木 "もぐら" 悠太郎
1986年 神奈川県生まれ 通称"もぐら"
ライブハウスでの撮影をはじめ、2013年にはFUJI ROCK FESTIVALや朝霧JAMといった大型フェスの撮影も担当するなど活躍の場を広げている。またライブや音楽イベントのみならず、風景やポートレートなど幅広く撮影中。