渋谷PARCOのスタジオから様々なイベントをライブストリーミング配信し、インターネットとリアルをクロスオーバーさせながらポップカルチャーを発信しているソーシャルTV局・2.5D(ニーテンゴディー)。その中から突如現れたプロジェクト、それが“YASHIBU(ヤシブ)”だ。「インターネットで音楽を聴く人々を再び現場に戻す」という思想で、これまで2.5Dがやってきたことと真逆の動きを見せている。
“渋谷”という様々な文化が入り混じるその場所と、ロックやインターネットミュージック(以下、ビート系)といったジャンルの垣根を壊したいという思想が合わさってこのプロジェクトを企画したという主宰の中川義和。モデルとしての活動はもちろん、音楽好きとしても有名で、様々なMVに出演し界隈で話題騒然となっているアリスムカイデ。このふたりがなぜタッグを組み、どのような思想で活動を共にするのか。「ひとつのイベントにまとまらず、いずれ渋谷の文化として根付くようにプロモーションしたい」と語る両者。“YASHIBU”について、そして今の音楽シーンについてイベント制作側としての思いを探った。
[メンバー] | 中川義和(“YASHIBU”プロデューサー)アリスムカイデ(モデル) |
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[取材・文・写真] | 鈴木”もぐら”悠太郎 |
みんなを家(インターネット)から外(音楽の現場)に戻す
――まずは自己紹介からお願いします。
中川はい。“YASHIBU”というイベントのプロデューサーをやっている中川です。
アリス“YASHIBU”でMCを担当している、モデルのアリスムカイデです。
――さっそくなんですが、“YASHIBU”ってどんなイベントなのでしょうか?
中川“YASHIBU”は簡単に言っちゃうと渋谷をメインにした音楽ドキュメンタリー型イベントですね。リスナーさんとアーティストのみなさんが、一緒に渋谷の音楽カルチャーを作っていくというイベントです。
――音楽カルチャーですか。このイベントをやろうと思ったキッカケは?
中川私が所属している2.5Dでは、日々様々なイベント番組を開催・配信しているんですけど、インターネットを軸にPOPカルチャーをメインに扱ってるんですね。インターネット、例えばSoundCloudとか、Twitterとかみなさん使ってると思うんですけど、家にいても世界と通じられる良さが出来てしまったというか。“YASHIBU”では、その形を壊して「みんなを家から外に戻す」っていうのをやりたくて始めました。
――“家”というのはインターネットだと思いますが、“外”というのはライブハウスだったり?
中川ライブハウスはもちろんですが、音楽が演奏されている現場ですね。インターネットでいいと思える音楽に出会った人たちが、インターネットの中だけではなく渋谷に戻ってくるみたいなストーリーができたら面白いかなと思ってます。
――音楽的な趣向ではどのような狙いがありますか?
中川ロックとビート系をクロスオーバーさせたいというのがあります。このどちらもこなすのがtofubeatsくんだと思うんですよ。彼が作る音楽はバンドっぽくもあり、ビート系っぽくもある。2.5Dはどっちかというとビート系の音楽に強いんですけど、ロックミュージックは少し知識が薄いんですね。そこで我々が得意とする「ビート系と今のロックを混ぜてみたらどうなるの?」ってのを単純に見てみたかったんです。
――“ネオ渋谷サウンド”という言葉を掲げていますが、渋谷にこだわる理由はあるんですか?
中川例えば原宿はきゃりーぱみゅぱみゅってイメージがあると思うんですけど、渋谷って今、そういうのなくないですか? 昔はアムラーとかシノラーとかヤマンバとかありましたけど今は「これが渋谷だ!」と思わせるものがない。だから渋谷の顔・文化になれるような、そんなイベントにしたくて渋谷という場所を選んでいます。