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渋谷チェルシーホテルやスターラウンジなどのライブハウス、宇田川カフェなどの飲食店を経営するLD&Kが立ち上げた「ありそうでなかった東京・“裏渋谷”発のオンラインセレクトショップ」、wefan records。渋谷からライブハウスやCDショップが減ってきている現在、あえて店舗を持たないオンラインセレクトショップという新事業を立ち上げた理由とは?

そこには渋谷という街への思いと、渋谷系という音楽ジャンルを再定義しようとする試みがあった。wefan records店主、テッツィ氏へのインタビューから、新しい渋谷のカタチが見えてくる。

[メンバー] テッツィ
[取材・文] いぬゆな

――wefan recordsを立ち上げるまではどのようなお仕事をされていたんですか?

テッツィLD&Kに入って、今年で11年になります。元々”渋谷系”と呼ばれる音楽が大好きだったんですが、LD&KからCDをリリースしているバンドが特に好きだったんですよ。Cymbalsとか、ソロになってからの土岐麻子も。

テッツィLD&Kでは、これまで営業販促として都内近郊のCDショップに通いつめていました。その中で、音楽やCDをとりまく環境の変化をずっと見てきたというか。渋谷でいうと、2010年のHMV閉店がいちばんの衝撃でした。ライブハウスも、SHIBUYA-AXがなくなり、渋谷公会堂が建て替えになる。それ以外にも、渋谷PARCOの建て替えもある。音楽も含めて、渋谷カルチャー的なものを発信できる場所に少しスキマができているような気がするんですね。そのスキマを埋めたいということもありwefan recordsを立ち上げました。

――確かに、この10年くらいで渋谷という街の雰囲気はずいぶん変わりました。最近だと、残響shopの実店舗が閉店してオンラインセレクトショップになりましたよね。

テッツィ渋谷系全盛期のころ、渋谷の街は世界で一番レコードショップやCDショップが多い街だったんです。でもフリッパーズ・ギターの解散以降、音楽やCDなどを発信する場所がだんだん少なくなってきた。2020年の東京オリンピックに向けてということもあり、渋谷駅周辺では再開発が急激に進んでいるんですが、オフィスビルなどオトナが集まるような場所を作る計画が多いんです。かつての若者の街である渋谷のイメージとはちょっと違いますよね。再開発の中心は桜丘町や新南口などで、宇田川町周辺だけ再開発の予定がないんです。街づくりという観点からも、宇田川町から渋谷の音楽カルチャーを発信したいと考えました。

――単純にいいバンドのCDを売ろうということだけではなく、街づくりという大きな観点から逆算しているわけですね。

テッツィはい。音楽事業以外にも、シブヤビールという渋谷オリジナルのクラフトビールを作ったりしているんです。最初は宇田川カフェでしか飲めないビールだったんですが、いまでは100店舗以上の飲食店で取り扱われています。シブヤビールを中心に据えて、渋谷区全体を巻き込んだイベントも行いました。会社として、音楽と飲食という2つの軸で渋谷の街を元気にしたいと考えていて、wefan recordsもその理念に沿って生まれたんです。

“新しい渋谷系”を生み出す

――渋谷系は90年代から2000年ごろまでのムーブメントでしたから、いまの音楽好きな若者は、渋谷系という言葉自体知らないかもしれない。でもあのころの渋谷系とはまたちょっと違う現在の「渋谷っぽさ」みたいな雰囲気を、wefan recordsで取り扱っているバンドは共通して持っていますよね。

テッツィもちろんそれは意識してセレクトしています。どのバンドも音の端々やファッションに「渋谷っぽさ」を感じさせてくれますよね。

――さりげなさというか、めちゃくちゃ気取ってるけど気取ってないように見せてるような。原宿や下北沢とはまた違い、渋谷にはちょっとハイソサエティな雰囲気を求めてしまう気がします。

テッツィ渋谷はいろいろな文化の混ざり合う場所ですから、バンドにもある種のミクスチャー的な雰囲気を感じたいんです。音楽ジャンルのミクスチャーという意味ではなくて、UKロックっぽいバンドもいれば、3ピースの直球ロックバンドもいて、でも並べてみるとみんな渋谷っぽさがあるよね、音は全然違うけど統一感があるよね、というお店にしたい。それが”新しい渋谷系”を生み出すことになるんじゃないかと思うんです。

――確かに、wefan recordsでsui sui duckとSUNNY CAR WASHのCDが並んでいても違和感がありません。見た目も音も全然違うバンドなのに。

テッツィたとえばsui sui duckですが、今年の4月にwefan recordsの立ち上げを決めて、取り扱うバンドを決めるためにYouTubeを巡っていたとき、彼らのMVにたどりつきました。なぜこんなにクオリティの高いバンドのMVがまだ3000再生なんだ!? と驚いたんですが、それだけに彼らを応援したい気持ちは強いですね。取扱いアーティストのライブは観るようにしています。ライブが良くないとバンドとしてそのあとが続かないし、良いと思ってCDを買ってくれたお客さんに、ライブを観てがっかりしてほしくないので。

――バンドのクオリティに責任を持つというところまで含めてセレクトされているんですね。

テッツィそうです。僕はJリーグの鹿島アントラーズのサポーターなんですが、鹿島は新人選手と3年契約するんです。そして鹿島イズムを叩き込んで、もし移籍させるときも移籍先までキチッと面倒を見る。そういう関係は音楽でも理想だと思っていて、セレクトしたバンドに活躍してもらうためのバックアップは全力でしていきます。

――いま下北沢で活躍しているバンドはなんとなく下北系の系譜を感じさせる音を鳴らしてますよね。いわゆるギターロック的な。でも渋谷系という言葉は、音楽ジャンルを飛び越えたカルチャーのレベルまで達した言葉なんだと改めて感じました。

テッツィ音楽ジャンルもどんどん多様化してますから、渋谷ならではの音楽というものを定義するのも難しいとは思うんですが、やっぱり渋谷から発信したものが流行ってほしいです。今度wefan recordsとして初めてのライブイベントを行うんですが、お店のファンがもっと増えてきたら、さらに新しい展開もやっていきたいですね。いろんなアーティストが「やっぱ渋谷って面白いよね」ってライブしに来てくれたり、お酒を飲みに来てほしい。最終的には、みんながこの渋谷を好きになってくれて、この宇田川町を好きになってくれて……wefan recordsがそのきっかけになってくれればと思っています。

イベント情報

The Lodestar “acoustic” #1
2017.09.13(水)東京・サラヴァ東京
OPEN 19:00 / START 19:30
ADV ¥2,800 / DOOR ¥3,300(ドリンク代別)
出演:KUDANZ / 優河 / 曽我部瑚夏(O.A)
チケット予約 >>

関連リンク

wefan records公式サイト
wefan records公式Twitter

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いぬゆな
  • いぬゆな
千葉生まれ千葉育ち。元バンドマン。演奏するより文章書くほうが得意なことに気づき、ライターになる。漫画と音楽とサッカーのことならどんと来い。それ以外もどんと来い。一番好きなバンドはThe music。