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自分が求めていた「広がり」が結果的に表現できた

――そして2015年4月に3回目のロンドンに行ったんだよね。毎回テーマみたいなものは決めてる?

レルレ1回目はジョン・ボーナム(Led Zeppelin)の墓参り。2回目はとりあえず路上でやってみる。3回目の今回は地下鉄の中で演奏して自分のMVを撮ろうっていうのがテーマだった。

――MVとはまた唐突だね(笑)。電車ではなく地下鉄なのはなぜ?

レルレロンドンは地下鉄が主な交通手段なんだけど、MVを撮ろうとしてた曲が地下鉄で流れているアナウンスをサンプリングしてるのね。せっかく行くんだから電車の中でその曲の映像を撮りたい! って漠然と思い始めて(笑)。ただひとつ問題があって、ロンドンに行くまでに曲が完成しなかったんだよね(苦笑)。

――向こうで完成させようと思った?

レルレ一応形にはなっていたけど、なにか物足りない…みたいな。向こうで路上やりつつ録れたらいいなぁと思ってたんだけど、中々アイデアが思いつかなくて。

――結局曲は完成したの?

レルレある日演奏しようとしたら、やりたい場所が片っ端からほかのパフォーマーにすでに使われてたことがあって。どうしよう…って考えてたらレゲエを演奏してた人が話しかけてきたの。「この前ここで演奏してたよな? 俺はもう終わるからここ使っていいぞ」って。彼が演奏を終えた理由は近くに奇声を上げる変な人がいて、そいつが嫌だったらしいのよ。で、レゲエの彼が荷物を片付けながら文句を言うんだけど、それが全部レゲエの歌なの。

――粋だねぇ。

レルレそれが超うまくて。「これだ!」って思って曲をイヤホンで聴いてもらいながらiPhoneに向けて即興で歌ってもらったんだ(笑)。一発で録った。マイクが近すぎてちょっと音が割れてるんだけど、それはそれで味になっていて。そうやって曲が完成した。あのとき、あの場所で彼に会ってなかったらこの曲はできてなかった。

――その彼はどんなことを歌ってるの?

レルレ内容がすごくてさ。「アジアからドラマーが来て、会えてうれしい」みたいなことを歌ってくれてた。自分が求めていた「広がり」が結果的に表現できたんだよね。元々自分の声で録ろうと思ってたから想定外ではあったけど。なんかこういうのいいよな。これが路上の良さであり旅の良さかな。

――その彼とは連絡先とか交換してないの?

レルレなぜかしなかった(笑)。不思議とロンドンに行けばまた会える気がして。「俺が有名になったら、この出来事を思い出してくれよ」って言って去っていったよ。超かっけー(笑)。

#stdrums / mind the gap

路上で音楽を聴いたことに対してチップをくれてる

――地下鉄での撮影はどうだった?

レルレ「文化」って言葉になっちゃうんだけど、みんな寛容だったよ。もっとやれ! って言われた(笑)。

――それ、煽るだけ煽ってその人は次の駅で降りるやつでしょ?(笑)。

レルレそうそう(笑)。叩き始めた次の駅で降りたからな。あるある過ぎる。

――地下鉄で撮るって軽く言ってるけど、許可とかいらないの?

レルレ一応、そこは日本と同じ。許可がいらない場所なんかないよ。ただ、警察が止めることはあまりなくて。厳しいのは自治体だね。新宿区パトロール隊みたいな。日本はなんだかんだで怒られるだけで済むことが多いけど、向こうは罰金だからアウトのときは容赦なく請求してくるらしい。でもやっぱり基本的にはギャグが通じるよね。「おい何やってるんだ! そこは演奏しちゃダメな場所だ! あと一曲だけにしとけよ。」みたいなのがよくある。

――(笑)。撮影にかかった時間は?

レルレ一曲だからね。2、3時間で終わったよ。

――ロンドンには毎回どれくらいの期間いるの?

レルレ大体3週間位だね。時間的にもお金的にもそれぐらいがちょうどいいかな。本当はずっと居たいんだけど(笑)。

――3週間って正直お金かかるよね? どうしてたの?

レルレ飛行機代はもちろんかかるけど、それは日本の路上での稼ぎを使っている。宿はさっきも言ったように泊めてもらったからなんとかなったし、それ以外に必要な食費とか現地での交通費はロンドンの路上で稼いだ。

――ゲスい話だけど、実際1日最高でどれくらい稼げた?

レルレロンドンで初めて路上演奏したのは11月で天気が悪かったせいか最高100ポンドくらいだった。けど今回は4月は天気がよくてさ。やっぱり晴れてて陽気だと見てる人も楽しくなるんだろうね。とにかく稼げて、最高で220ポンド。平均でも100ポンドは超えてたかな。現地で仲良くなった友人に「ユージ、それサラリーマンより稼いでるぞ! スーパーリッチマン!」って言われた(笑)。

一同(笑)。

――ロンドンではどういう人がお金を入れてくれるの?

レルレやっぱりヨーロッパ人だよね。イギリスは観光客もいっぱいいて立ち止まってくれるけど、チップをくれるのヨーロッパの人。イギリス人だけではないね。

――年代的には?

レルレ全世代だね。年齢は関係ない。

――CDも日本と同じように売れた?

レルレ自分のCDを5ポンドで売ってたんだけど、5ポンド入れてCDを持って行かないってのがよくあった。路上で音楽を聴いたことに対してチップをくれてるというか。

――ほかにも路上でやってる人はいるんでしょ?

レルレいっぱいいる。アイデア勝負で皆を楽しませようとしている人が多い気がする。もちろん例外もいるけどね。

――ロンドンのお客さんの耳や目っていうのはレルレの感覚的には厳しい?

レルレ僕の感覚ではイージーだと思う。チップを入れる文化があるから圧倒的にやりやすいっていうもある。機材のセッティング中に入れてもらったこともあるよ(笑)。

――ちなみに路上でやってて印象に残ってる人はいた?

レルレDario Rossi。(即答)ガラクタをいっぱい並べて、それを叩いてテクノを演奏する人。元々Youtubeで見たことあったんだけど、実際にやってて。「本物だ!」みたいな(笑)。ウルトラ稼いでたね。素晴らしいのは、音源を交換したのだけど、あとで感想をちゃんとメールでくれてさ。「この曲がいい!」って。滅茶苦茶嬉しいよね。因みに彼のCDは曲のタイトルすらなくて、ひたすらDarioワールドが繰り広げられる最高の一枚だった。

Dario Rossi / 「TECHNO RAVE PARTY mode: ON」

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鈴木“もぐら”悠太郎
  • 鈴木“もぐら”悠太郎
1986年 神奈川県生まれ 通称”もぐら” ライブハウスでの撮影をはじめ、2013年からは「FUJI ROCK FESTIVAL」や「朝霧JAM」といった大型フェスの撮影も担当するなど活躍の場を広げている。 またライブや音楽イベントのみならず、風景やポートレートなど幅広く撮影中。