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「ハローハロー親愛なる僕へ」

10分間の休憩を挟んだのち、第二部の演奏を開始。「Irene」が奏でられる……あの夏の日と同じ空、時間。そこに突如、混沌としたノイズが襲う。あっという間に煙と炎にまみれた空。予期せぬ悲惨な出来事に、言葉を失った。儚い電子ピアノの音と重厚な歌から始まる「Flash,End Found」。すべてが壊れてゼロになる瞬間のような、衝撃的な展開を迎える楽曲と共に、悲しみに溢れたキャンバスには涙がこぼれ、そして真っ白になっていく。これほどまでの喪失感を、対照的に希望を得たような感覚を、同時にライブで体験するとは思わなかった。

まっさらになった世界で、またチクタクと音が刻まれる。スクリーンには時計の針が映され、柳澤澄人(Vo/Gt)が優しく語りを始める。「コツコツ、時間は止まらない……」。時計盤に描かれる扉と、そこへ向かう足跡。しっとりと始まった曲は「アメノチ」。雨上がりに雲の切れ間から光が差すように、悲劇のあとの希望を歌う。夢ではない現実の世界に、陽が顔を出し、緑が生え、花が咲く。物語の結末に演奏されたのは「エイミーは笑った」。リフレインする、“エイミーは笑った、けれど泣きながら”という歌が、心に灯るようにして残る。そして第二部で描き上がった絵が、第一部の絵と対になって完成した。望遠鏡を通して見た夢の世界と、現実で築いた緑溢れる世界。それは、思わず感嘆のため息が出るほどの光景だった。

手描きのエンドロールとエンディング曲が奏でられる。メンバーがひとりずつ退場するなか、小川咲紀子が絵を描いていた席に柳澤澄人が座り、ノートを広げて手紙を書き始めた。何度か書き直した末にこう綴る、「ハローハロー親愛なる僕へ」。

(写真:青木功太

<セットリスト>
-第一部-
01. Opening
02. Over the Rain
03. Irene
04. 現代航海
05. Prometheus
06. シュヴァルツヴァルトからの楽しい逃走
07. 冬に咲く花

-第二部-
08. Irene
09. Flash,End Found
10. 君への帰り道
11. アメノチ
12. エイミーは笑った
13. 空宙分解
14. SCOPE

まとめ

映画や舞台を観て、涙を流した経験のある人も多いだろう。nameshopのライブには、それに近い感動がある。今回紹介したのはホールでのワンマン公演だったため、彼らのポテンシャルがより発揮されたステージだったと言えるが、ライブハウスでの30分演奏でも十分にnameshopの魅力は伝わるはず。

筆者が、率直に「ぜひ一度ライブを観てみてほしい」と推したいバンド、nameshop。CDで聴くのももちろん良いが、音楽が色づき、物語としての命が吹き込まれていく様子を体感してもらいたいからだ。音楽が好きな人だけでなく、あらゆるアートに興味のある方にもオススメしたい。

ライブ情報

ellmar企画“PARABOLA vol.1”
2014.12.27(土) 下北沢屋根裏
w/ 皆様ズ / TalkingMushroom / O.A.july(acoustic) and more

“2014-2015 COUNTDOWN MOSAiC”
2014.12.31(水) 下北沢MOSAiC
w/ kalablow / ハシグチカナデリヤ / テトテ / Riverside Creature / プラグラムハッチ / ショージロージュニア / 杏仁クルーエル / More Than Love / ビーチ・バージョン / パラダイムオーケストラ / タキザワユキヒト / poro / hanot / room free fall / i-diot / エソラ / 竹内直とプリングルス / kukatachii / ステフアンドジミー / the irony / the tote / Cuckoo(クーク)
1Fサブステージ:田村友昌(tonetone)/ エツシホシノ
地下サブステージ:宮城裕次
[DJ]ぷりぷり聖徳太子(MOSAiC)/ ハゲモン(ex.MOSAiC)

詳細はこちら

関連リンク

nameshop公式サイト

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松井 恵梨菜
  • 松井 恵梨菜
本業である音楽関係の雑誌編集に忙殺されながらも、ライターを目指して勉強中。"ETERNAL ROCK CITY.2012"オフィシャルライターなどの経験あり。難しい評論ではなく、心に伝わる文章が書けるようになりたいです。通称"ぴよ"。