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ライブレポート

2014.11.22 北とぴあ“スペースゆう”プラネタリウムホール
nameshop Oneman Show“SCOPE”

静寂のなか、神妙な面持ちで登場するメンバー。チクタクと、時計の針の音がしんとした空間を刻む。ステージ奥のスクリーンに、筆が点々と足跡を残していく。その先には“nameshop”の文字。“o”の部分が封筒になっており、なかには4つ折りになった1枚の紙が入っている。紙を開くとひと言だけこう書いてあった、「ハローハロー親愛なる僕へ」。

ささやかな仕掛けにほんのり心躍らされたプロローグを経て、煌めく鍵盤の音が先陣を切りステージを彩った「Over the Rain」。さあ、「nameshop Oneman Show“SCOPE”」の始まりだ!――そう高らかに宣言するかのような、まばゆい幕開けだった。会場は元々、プラネタリウムとして使用されていた場所で、今はもう投影を行っていないが、その特性上、丸みを帯びた壁が大きなキャンバスとなり、高い段差のある客席はどこからでもショーを存分に堪能することができる。

小川咲紀子(Paint)が描いた1枚の絵からイメージを膨らませ、渡部かをり(Ba)が綴った小説「SCOPE」。それをもとに楽曲を繋ぎ、絵を描いていった本公演。主人公の少年の宝物である望遠鏡が鍵となり、物語は展開していく。しかも驚いたことに、nameshopが7、8、9月と3ヶ月連続で行ったcafe 8 joursでのワンマンライブ“JOIN”も小説の一編となっており、それぞれ少年が望遠鏡から見た世界を描いていたことが今回のライブを観てわかったのだ。あらゆるものをリンクさせ、一つひとつのライブを芸術性の高い作品として作り上げる、彼らのアーティスト性には目を見張る。

夏の終わりのような、はたまた遠い記憶を懐かしむような、胸がきゅっとなる切なさをまとったインストゥルメンタル「Irene」をバックグラウンドにして、キャンバスが象る空には花火が打ち上がる。何発も何発も放たれ空が鮮やかに埋まると、記憶を辿るかのように、さざ波の音にさらわれそこは海へと一変。続けて演奏する「現代航海」では、酔いしれてしまいそうなジャジーなサウンドに、果敢なアンサンブルも披露した。気づけば暗闇に月が浮かぶ。白石なる(Key)によって電子音に変換された渡部かをりの朗読が神秘的な「Prometheus」、メルヘンな森へと誘い込む「シュヴァルツヴァルトからの楽しい逃走」とプレイし、着実に構築されていく夢の世界。視野(=SCOPE)に映る非日常な景色に、ただただ好奇心がくすぐられるばかりだった。

流線形の音が溢れ出すようにして始まる「冬に咲く花」。月へと伸びる1本の道が描かれ、そこに花が咲く。閉じ込めていた光を解放するかのようなきらびやかな曲の転調、その瞬間、空に無数の星が散りばめられる。瞬く間に輝きで埋め尽くされていく光景を目の当たりにし、もはや感動するほかなかった。投影を行っていないプラネタリウムで、nameshopは自ら満天の星空を作り上げたのだ。主人公の少年が思い描いた幻想的な星の世界が完成したところで、メンバーが退場し第一部が終了する。

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松井 恵梨菜
  • 松井 恵梨菜
本業である音楽関係の雑誌編集に忙殺されながらも、ライターを目指して勉強中。"ETERNAL ROCK CITY.2012"オフィシャルライターなどの経験あり。難しい評論ではなく、心に伝わる文章が書けるようになりたいです。通称"ぴよ"。