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日常的な歌詞と優しいサウンドで注目を集める歌ものバンド、tonetone(トーントーン)が前作『永遠の人.ep』から約1年ぶりとなる1stミニアルバム『one』を発表した。今回、Diggityではそのボーカルを務め、作詞作曲を担当している田村友昌に独占インタビューを実施。バンドのフロントマンと弾き語り活動を両立する彼に、自らの歌詞に対する想いや目指すバンド像を語ってもらった。

[メンバー] 田村友昌(Vo/Gt)
[取材・文] カタニワ
[写真] 鈴木“もぐら”悠太郎

感情を伝えるには自分が日常で経験したことを歌わないと伝わらない

――会場限定版1stミニアルバム『one』のリリース、おめでとうございます!

ありがとうございます。

――まず、この作品に『one』というタイトルを付けた理由を教えてください。

漠然とtonetoneの字面から持ってきたいと思って考えました。「tonetone」のtoneのtを抜いて「one」という文字が見えたので、初めてのミニアルバムということも合わせて『one』に決めました。

――ご自身のTwitterでも言っていたように、収録されている5曲すべて女の子が出てくる曲ですが、この作品に限らず普段から女の子に対して歌う歌詞が多いのでしょうか?

たぶん僕は異性に対する気持ちしか歌えないんですよね。「友達頑張れ」とか「人生って辛い」とか、「この世界はなんたらこうたら」とかも別に興味ないんです。常に異性のことしか歌いたくないですね。

――それは昔からですか?

ボナンザグラム(田村がtonetnoeの前に活動していたバンド)のときからそうかなぁ……。昔はもうちょい違う歌も歌ってましたけど、今はそれが顕著ですね。そのほうが強い感情を持たせて歌えるので。

――身近なことを歌っていたいってことですね。

そうですね。今回は「春花(チュンファ)」だけ妄想で書いたんですけど、妄想の歌だと自分の抱いている感情は伝わりずらいっすね。その歌の風景や寂しさは伝わっても、感情を伝えるには自分がちゃんと実生活で感じたことを歌わないと伝わらないなと。だから僕の書く歌詞は、実体験のものが多いです。

――1年前のインタビューでも同じことをお話ししていましたね。その気持ちは一貫して変わらないですか?

そうですね。そうじゃないと歌っていて気持ち良さがない。

――では、tonetoneとしては約1年ぶりの作品となりますが、この1年間はどうでしたか? あっという間でしたか?

いや、すごい長く感じたかなぁ。ドラムのサイくん(斎藤秀平)はボナンザグラムからのメンバーなので、最初の半年が経ったときはお互いにすごい成長を感じたし、「あっという間だったね」って話してました。でも思い返してみると1年前がもうはるか遠くに感じるし、今までの人生でいちばん長く感じた1年間でしたね。

――それはバンドとして充実していたからでしょうか?

昔より一日一日をすごい考えて生きてるのかなと思います。昔はもう流されるままに音楽やってたんですけど……今は自分から伝えたくて地方に行ったり、自分で企画したり、tonetoneの曲作ったりしてるんで、そういう意識の違いで遅く感じたんだと思います。頑張ってやってたからあっという間だったっていうより、熱中して伝えたいことがあったから。でもその分めちゃくちゃ焦ってます。tonetoneとしてはまだ1年くらいなんですけど、僕からしたらもう何年もやってるバンドの気分になっちゃうんですよ。ふと我に返るとまだこのバンド1年しかやってないんだ! って思いますね。

メンバーのおかげで弾き語りの曲も「田村のソロ」じゃなく「tonetoneの曲」になる

――では、曲の話に移りたいと思います。「ともる」と「告白」はそれぞれ弾き語りの音源が発表されていますが、弾き語りとして作ったときからバンドで演奏することを意識していたのでしょうか?

僕は基本的にバンド用に曲を作って来ないんです。そこがtonetoneの弱みであり強みであると思うんですよ。バンド用だと、リフ的な決め台詞があって耳に残って気持ちがいいかという視点で歌詞を書くけど、弾き語りは歌い手が何をどう考えているのかをお客さんに伝えるのが最重要項目になるので、歌詞を書く上での目的が違うというか。だからそのときの自分の気持ちをラッピングした上で「あぁこの表現最高、気持ちいい」っていうのに浸れるくらい何度も歌詞は練り直します。そこで自画自賛できるくらい素敵な歌詞の曲が弾き語りで何曲も作れてるのに、それとは別にバンド用の曲を作ろうって思わないですね。バンドありきで活動してるけど、まずは人に直接伝わる歌を作るのが大前提なので。だから、まず弾き語りで通用する曲を作ってからバンドに持っていってるって感じが強いです。

――作詞は田村さんが担当していますが、作曲やアレンジに関してはどのように作っていますか?

作詞も作曲も、まずは僕のなかにあるものをバーって曲に詰め込んでバンドに持っていってます。でも僕、アレンジ力がすごい弱くて、サビ前のキメとか、AメロからBメロへの流れとかを作るのが苦手なんです。いつもそこがぼやけた段階でサイくんと個人練習に入ってます。そうするとサイくんが「ここはこういうキメのほうがいいんじゃないの?」とか「いや展開はこっちのほうがいいでしょ」とか言ってくれて、曲の甘いところを詰めてくれるんです。すごくいい分担はできてますね。素敵な曲の軸が出来たら、あとは森野くん(Ba)と田中さん(サポートGt)に任せるという流れで作ってます。

――バンドでできないことをソロでやったり、ソロでできないことをバンドでやるという方もいますが、田村さんはそういった垣根があまりないように思います。

田村友昌(Vo/Gt)

そうですね。ただ自分が歌いたいことを歌ってるだけです。お客さんの心に届く歌詞が書けていればバンドでもちゃんと通用するので。ただ、バンドが弾き語りの延長になっちゃうと「田村のソロバンド」みたいになっちゃうけど、メンバーのアレンジ力のおかげで「tonetoneというバンドの曲」に昇華できてます。

――そうなんですね。では2曲目の「春花(チュンファ)」に関して、「珍しく妄想で書いた」と言っていましたが、なぜそのように書こうと思ったんですか?

それは田中さんに「お前の昔(ボナンザグラムのとき)の歌詞のほうが好きなんだよね」って言われたのがきっかけですね。当時ははひたすら妄想を書いてたんですよ。それはそれで才能が爆発してた自信があったし、今読んでもよくこんなの書けたなぁって思うんですけど。昔は歌いたいことがなかったから、伝えたい何かを毎回探してたんですよね。今は人に恋したり愛することを学んだおかげで「俺は今こう思ってて、こういうのを伝えたいんだ」っていう軸ができて、身近な歌詞が書けるようになりました。でも、だからと言って抽象的な曲が書けなくなるっていうのは言い訳でしかないと思ったので、「昔の曲も努力次第で書けるはずだ」と妄想の曲を書いてみました。

――「チュンファ」って中国の女の子の名前ですよね?

あ、そうです。

――じゃぁ、歌詞の主人公も中国の女の子ということですか?

いや、そういうわけではないんですけど……。ボナンザグラムのときも「春花」っていう曲があったんですよ。そのときは中国人の風俗嬢の女の子に男の子が恋をするっていう曲で、物語の背景がちょっと似ていたので今回の曲もタイトルを「春花」にしました。今の「春花」のダブっぽいCメロは、ボナンザの「春花」のメロをはめたら面白いと思ってそこから持ってきています。それに、ボナンザの歌詞は“異国のさ、あの子にはね~”っていう始まりなんですけど、tonetoneは“異国からきたチャイニーズボーイと”って、男女が逆になってるんです。まぁだから、tonetoneの「春花」は中国人の女の子ではないんですが、自分の昔の曲のオマージュになってます。

――これから『one』が発表されて、さらにいろんな反応が返ってくるのではないでしょうか。

そうですね。ミュージシャンって他人から見られる職業じゃないですか。だから他者の評価が絶対だと僕は思ってて。他者の評価が低いのに「俺サイコー」って言ってると自惚れてるだけだと思うし。これを機に自分たちがどう感じてもらえるアーティストなのかを確かめたいですね。

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カタニワ
  • カタニワ
自由人。邦楽ロックとポップが好き。他にもなんでも聴いてみること、広く視野を持つことを心がけてます。音楽の他にも写真、アート、食、様々な東京カルチャーに興味を持っています。曲やライブの中にあるアーティストらしさを引き出して、沢山の人と共有できる文章を書きたいです。ただいま勉強中。
  • 鈴木 "もぐら" 悠太郎
1986年 神奈川県生まれ 通称"もぐら"
ライブハウスでの撮影をはじめ、2013年にはFUJI ROCK FESTIVALや朝霧JAMといった大型フェスの撮影も担当するなど活躍の場を広げている。またライブや音楽イベントのみならず、風景やポートレートなど幅広く撮影中。