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とても物語に恵まれたバンドである。結成から3年、2015年はFINLANDSにとって飛躍の一年だった。2月にタワレコ限定の3rdミニアルバム『ULTRA』を発売。もちろんこのミニアルバムのツアーも行っていたのだが、たった5ヶ月後の7月には全国流通盤となる4thミニアルバム『JET』をリリース。本記事にてレポートするのは11月18日に新代田FEVERで行われた『JET』のツアーファイナル“FINLANDS JetStar Tour~着陸編~”だ。

『JET』のリリース以降は、オーディション企画「出れんの!? サマソニ!?」の審査を通過し、8月16日に“SUMMER SONIC 2015”に出演。10月3日、仙台11ヶ所のライブハウスやCDショップなどで行われたイベント“MEGA ROCKS 2015”、10月10日に“MINAMI WHEEL 2015”に出演。そして10月21日には、TSUTAYA O-EASTで行われたゲスの極み乙女。/indigo la endのフロントマン川谷絵音主催の音楽イベント“川谷絵音presents『エノンのやりたい放題 vol.2』”に出演した。怒涛の勢いで各イベントへの出演を重ねると同時に、過去最高本数となる本ツアーにて日本中を回ってきた。

この日の新代田は雨がちらほらと降っていたので、FEVERに集まってくる人々のコンディションは必ずしも万全ではなかっただろう。ライブへの期待感と、暗く濁った空の色を映したどこか物哀しい雰囲気が同居した複雑な表情は、FINLANDS楽曲の主人公たちによく似ていた。

1曲目は、彼女たちの初のMV制作楽曲でもある「ゴードン」。印象的なギターのアルペジオと塩入冬湖のハーモニクスから始まるこの曲はライブの幕開けに相応しく、じわじわと僕らの身体を揺らしていく。MVでは主人公が気味の悪いダンスを踊っていたが、この日のオーディエンスはとてもダンサブルで楽しそうに踊っていて、バンドへの期待値の高さがライブ冒頭からうかがえた。

「今日は来てくれたことを後悔させないよう、全力で歌います!」というMCを挟んで、続く「シンデレラストーリー」は前身のバンド、ビトリオル時代の代表曲である。2014年から何度かライブで演奏しているが、ビトリオル当時よりもベースのコシミズカヨのコーラスがバンドのアンサンブルに馴染んでいるのは間違いない。

「一瞬楽器みたいになる声が独特」とは川谷絵音が塩入のボーカルを表現した言葉だが、FINLANDSの最大の武器は、たしかに塩入冬湖のボーカルである。ただ、それはある意味では個人としての技能の話でもあり、実はFINLANDSが“バンドとして”特別なのは、コシミズカヨの存在が大きい。塩入のボーカルをより研ぎ澄まさせるのは、カヨのコーラスがあってこそだからだ。

フロントマンとベーシストの二人組というと、ある時期までのくるりを思い出す。くるりは岸田繁の天才的な音楽と作曲の才能に支えられたロックバンドではあるが、ベースの佐藤を欠いてはそのサウンドは語れない。彼女たちは、それによく似たバランスで成り立っている。ドラマーが抜けたのち、ふたりだけでサポートメンバーを迎えてバンドを続けているストーリーも同様である。

3曲目「さよならプロペラ」は、アルバムの中でもその柔らかなメロディラインが特徴的な曲だが、ライブで演奏されると他のアップテンポな楽曲の中でより一層メロディの美しさが際立っていた。それに続くのはまたも前身バンド時代の楽曲、ビトリオルの2ndミニアルバムのタイトルソングでもある「ロンリー」。

ここまで「『JET』の曲」と「前身バンドの曲」が交互に演奏された。『JET』や夏以降のイベントでFINLANDSに初めて触れたファンも多かったとは思うが、FEVERの熱気がこの時点でもグングン上がっていたのがすごい。

「知らない曲だから盛り上がれない」ではなく、ビトリオル時代の曲でさえオーディエンスを味方にしていたのはひとえに楽曲の芯の強さだろう。これは「FINLANDS節」がすでに出来上がっていて、リスナーもそれを受け入れていることの表れだ。

そして、5曲目には「メリーゴーラウンド」というタイトルの新曲が演奏された。これはビトリオル楽曲が2曲演奏された本ライブのセットリストからも感じたことだが、「メリーゴーラウンド」は「今のFINLANDSのモード」と数年前の「ビトリオルのモード」が合わさって、溶け合った曲のように感じた。そう思えたのは、現在のFINLANDSのふたりがこれまでのキャリアを総括して、総力戦で楽曲制作を行っているからかもしれない。

新曲直後のMCでは2月19日に、この日と同じ新代田FEVERにて行われるワンマンライブが発表! カヨが3日間かけて考案したタイトル「ごはんですよ。」は「美味しいごはんがあるところには人が集まってくる」という意味らしい。

MCを挟んで「銀河の果てまで」「さみしいスター」「クレーター」と『JET』収録曲を連発。最終曲「クレーター」では、会場の熱気と一体感とワンマンライブを筆頭にこれからやってくるFINLANDSの未来に対する期待値の、そのどれもが圧倒的な沸点を超えて、とてつもない幸福な空間が出来上がっていた。

アンコールなしがお決まりのFINLANDSだが、最初から最後まで、まさに2015年の勢いをそのままライブハウスという空間に閉じ込めたライブだった。冒頭で「2015年は飛躍の年だった」と書いたが、それはまだ物語の最初の1ページに過ぎない。2016年2月19日、初のワンマンライブで、FINLANDSはどこまでその勢いを加速させるだろうか。

Photo by ossie

[FINLANDSセットリスト]
01. ゴードン
02. シンデレラストーリー
03. さよならプロペラ
04. ロンリー
05. メリーゴーラウンド(新曲)
06. 銀河の果てまで
07. さみしいスター
08. クレーター

リリース情報

4thミニアルバム『JET』
NOW ON SALE
¥1,500(税抜)

[収録曲]
01. クレーター
02. さよならプロペラ
03. ダーティ
04. mitsu
05. あの子のお祭り
06. さみしいスター
07. 銀河の果てまで

FINLANDS / 「さみしいスター」

FINLANDS / 「クレーター」

FINLANDS / 「ゴードン」

関連リンク

FINLANDS公式サイト
FINLANDS公式Twitter

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くいしん
  • くいしん
1985年、神奈川県小田原市生まれ。 高校卒業後、NSC東京を卒業しお笑い芸人見習いとして活動。その後、ディスクユニオン勤務、音楽誌『MUSICA』の編集などを経て、現在はWeb制作を本業にしながら音楽やカルチャー関連の記事を執筆中。