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9月10日に“秋の感謝祭”と銘打った或る感覚の自主企画がshibuya duo MUSIC EXCHANGEにて開催された。

彼らの企画としては最大規模となった同イベントに招かれたのはキュウソネコカミ、HUSKING BEEの先輩バンド2組。そしてオープニングアクトとして戸渡陽太が出演した。

開演に近づけば近づくほど多くのファンで満たされ、熱を増していく会場に登場したのは戸渡陽太。ギター1本とマイクのみでステージに立ち、最低限の照明に照らされた彼の立ち姿は何か期待感を掻き立てる雰囲気を感じさせた。オープニングアクトということもあり、この日演奏された楽曲は少なかったが、少しディストーションの効いたパワフルな歌声と、ただ爪弾くだけではなく、まるで雅を彷彿させるテクニカルなギターのスラップ演奏で“お祭り気分”であった会場の雰囲気を一気に引き締めた。

キュウソネコカミ

しかし、続いて登場したキュウソネコカミにより、その緊張感をはらんだ会場は早くも激変する。メジャーデビュー以降破竹の快進撃を見せる彼らは、キャパが700人ほどと決して小さくないこの会場も最早手狭に感じてしまうほどの人気。

「ウィーワーインディーズバンド!!」を皮切りにCMソングとしてお馴染みの「MEGA SHAKE IT!」そして「ファントムバイブレーション」と畳み掛ける。メジャーデビュー以前の彼らのライブはお客さんと至近距離で殴りあう(でも暴力的じゃない)ようなライブパフォーマンスだったが、良い意味でライブハウス感が抜け、会場全体を巻き込むスケール感を増したパフォーマンスへの確実な進化と現在のバンドの充実ぶりを見せつけた。

MCでは後輩である或る感覚への愛をヤマサキセイヤ(Vo/Gt)が「リフをパクろうとしたが弾けなかった。彼らが大阪に来たときは毎回ライブに行きバレないようにTシャツを買って帰った」とやや自虐的に彼らしく表現。終わってみれば会場は汗だくの圧巻のパフォーマンスでHUSKING BEEに繋げた。

HUSKING BEE

そして登場したHUSKING BEE。この日のセットリストは「欠けボタンの浜」「摩訶不思議テーゼ」など彼らの初期の楽曲を中心に展開。すでにベテランの域にいる彼らは或る感覚やキュウソネコカミのファン層とは若干解離があるのは否めない。しかし、そこは数々の大舞台を経て今もトップランナーとして活躍しているバンド。初めは静かに見入る人が多かったフロアもライブが進行していくほどに徐々に体が動き、彼らの一挙手一投足に集中していくのが感じられた。

そしてライブの中盤に演奏された、彼らの最初期の楽曲であり代表曲の一つである「WALK」のギターリフが響いた瞬間には“待っていました”とばかりに大きな歓声があがった。合間のMCではメンバーのshibuya duoでの思い出話になり、岸野一(Ba)が某女性アーティストが“まだ会いたくて震えてない頃”にライブを観に来る機会があったというエピソードで笑いを誘い、会場が帯びた熱を穏やかにする。

中盤以降も「The Sun and The Moon 」などキラーチューンを惜しげもなく披露、最後は磯部正文(Vo/Gt)が「或る感覚に新しい風を」と告げ、この日のホストに「新利の風」をプレゼントし或る感覚へバトンを渡した。

或る感覚

そして先輩バンドからのバトンを受け登場した或る感覚。この日最初の曲に選ばれたのは意外にも最新作『バイタルリスペクト』の最後に収録されている「エンドビールで乾杯」。冒頭からぶちまけたような爆音、北原ジャンクション(Dr)とkou(Ba)による太いグルーヴでこの祭りの終わりの始まりを高らかに鳴らし、過去の彼らを代表する曲「ヒーロー」と続く。

彼らは以前のインタビューでこの楽曲を“黒歴史”と言い放ったがこの曲の切り裂くようなギターと言葉回し、楽曲の持つ瞬発的な爆発力は彼らのオリジナリティの一つであると改めて感じさせた。「初夏のピラニア」に続いて演奏されたのは大野(Gt)のギターが唸りまくる新曲「発想の転換」。『バイタルリスペクト』というフィジカルなアルバムを作り上げ、ライブにて研ぎ澄ましてきた彼らのネクストステージを感じさせる楽曲だ。その後は最新作から「赤い春」「ファイトクラブ」そして前作『カウンター』からライブで定番の「鬼」「CITY STYLE ALTERNATIVE BLUES」をプレイし、この日の祭りの幕を一旦閉める。

アンコールで再びステージに帰ってきたロン(Vo/Gt)「このバンドは一週間前に解散が決まっていた」と明かす。彼はなぜそこに行き着いたかについては話さなかったが、神妙な面持ちで話す彼からはいつものようなジョークではないことは読み取れた。しかし、新曲ができて、それをバンドで組み上げていくなかで踏みとどまれたと説明し、そのきっかけとなった新曲「邂逅」をプレイ。

この日は演奏されなかったが「亀の速さで」や「対話」といった『バイタルリスペクト』で或る感覚、そしてロンが目覚めた“歌”そして“言葉”をさらにバンドとして昇華させたこの曲は、これからの彼らの代表曲となるであろうと確信させる美しい曲だった。そしてアンコールのMCでロンは個人として山手線を各駅停車で一周し、路上ライブを行うことをあわせて発表。土臭い企画だなぁとも思うが、不器用な彼らしい企画だとも思う。そういった企画を経てまた新しい“何か”を掴んだロン、そして或る感覚の次を楽しみにさせる、初秋にしては暑すぎる祭りが幕を閉じた。

[或る感覚セットリスト]
01. エンドビールで乾杯
02. ヒーロー
03. 初夏のピラニア
04. 発想の転換
05. 赤い春
06. ファイトクラブ
07. 鬼
08. CITY STYLE ALTERNATIVE
en. 邂逅

キュウソネコカミ / Photo by Viola Kam(V’z Twinkle)

HUSKING BEE / Photo by 鈴木 “もぐら” 悠太郎

或る感覚 / Photo by 鈴木 “もぐら” 悠太郎

リリース情報

2ndフルアルバム『バイタルリスペクト』
NOW ON SALE
¥2,200(税込)

[収録曲]
01. ファイトクラブ
02. 赤い春
03. 画家と筆
04. スローウェイヴ
05. マーシャルアーツ
06. 夕焼けは見たくなかった
07. キリコ・シンコペーション
08. 初夏のピラニア
09. ナチュラル
10. 対話
11. 亀の速さで
12. エンドビールで乾杯

関連リンク

或る感覚 公式サイト

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伊藤 啓太
  • 伊藤 啓太
音楽好きの家庭育ちの次男。某CD屋からスタートし事務所、ライブハウス、音楽誌、流通、イベント制作と渡り歩いた業界屈指の決定力のない器用貧乏。