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40年近くにも渡る長い年月、今も宇宙を旅している“Golden Record”という1枚のレコードの存在をご存じでしょうか。いつか、まだ見ぬ誰かに出会う瞬間を夢見て、地球から遠い遠い世界へと贈られた、小さなプレゼントのことを——。

Golden Recordとは

1977年に打ち上げられた2機のボイジャー探査機に搭載されたレコードである。地球の生命や文化の存在を伝える音や画像が収められており、地球外知的生命体や未来の人類が見つけて解読してくれることを期待している。ボイジャー探査機が太陽以外の恒星近傍(その恒星まで1.6光年離れた地点)へ到達するには4万年を要するため、もしボイジャーの方向に地球外知的生命体がいたとしてもそこに到達するまでには長い時間がかかる。

Wikipediaより

ある種のタイムカプセルのように、想いの詰まった宝箱。……想像してみてください。何光年も経て、手に取ってくれた“誰か”がどんな体験をするのかを。聴いたこともない音を浴び、目にしたこともない風景を目の当たりにするのかもしれない。あるいは、奇跡的に共鳴するのかもしれない。いずれにせよ、心の躍る話じゃありませんか?

そんな、夢の溢れるレコードと同じ名前を冠した作品が先日発売されました。Cuckoo(クーク)というバンドが主体となって制作したコンピレーション・アルバム、『Golden Record』。地球から宇宙へ、なんて大それたものではないけれど、同じくらい、届きますようにと強く願う、8組のインディーズ・バンドの音と想いが詰め込まれた一枚。

V.A.『Golden Record』All Songs Introduction

筆者もそんなレコードを受け取ったひとりですが、再生したときに体験した感動を、もっとたくさんの人に届けたい——そう願い、この『Golden Record』を運ぶボイジャーになれるような記事を書けたらと思ったのです。

ということで、ここに収められた音楽について、自分が感じたことを伝えていきます。

Track.1 /「Voyager」by Cuckoo(クーク)

クーク

まだ見ぬ“君”に出会うため、旅立った宇宙船——そこに載せられた夢、想いと、自身の胸の内を重ねたような詞が綴られている。無限の世界を想像させる神秘的な幕開け。君への願いを、何回言っても足りないくらいの感謝の気持ちや愛情を、高らかに伝える歓喜を湛えたメロディ。そして、不安を抱えながらも勢いよく飛び立っていき、一途に想い続けた君に巡り会う。そんなドラマチックな展開が、胸を打たないわけがなかった。「Golden Recordを受け取ってくれて、僕と出会ってくれてありがとう」、そう響いた気がした。
Cuckoo(クーク)公式サイト

Track.2 /「Messenger」by ドラマストア

ドラマストア

タイトルの“Messenger”は、Golden Recordそのものにも置き換えられるだろうか。「見つけてくれたお礼に、僕が力になる」——君を励ますためのメッセージ・ソングであり、頑張ってここまで生きてきた過去の自分が、生きることのつらさに直面した今の自分を鼓舞する歌のようでもあって。それがまた、誰かの力にもなっている……そんな、音楽が秘めた可能性にロマンを感じずにはいられないお話。バンドのコンセプトである、“何気ない日常にドラマを”が、そういった部分にエッセンスとして存在している。
ドラマストア公式サイト

Track.3 /「桜カルタ」by アトリエコード

アトリエコード

言葉なんて数えきれないほどあるのに、それでも不思議なことに、生活していると言葉にならないことがある。“別れ”という複雑な気持ちが交錯する事柄を、“桜”という印象的なモチーフで表現した一曲。桜は、季節柄“出会い”のイメージもあり、目にするときの心境によって喜びも切なさも与えてくれる。そんな繊細な歌詞表現を、あえてエッジの効いたギター・サウンドに乗せることで、感傷的な別れの気分に浸るだけでなく、次の出会いに向けてのエネルギーが満ちているようにも感じさせる。
アトリエコード公式サイト

Track.4 /「Re:live」by Foley of Lucent

Foley of Lucent

“覚えている?”という共通の問いかけで、アトリエコードの最後の歌詞に呼応するようにして繋がっていく。“宇宙”から連想して辿りついた記憶=生まれて初めて描いた将来の夢、が鍵となっている楽曲。幼い頃想像した未来の自分は、当時見上げた空と同じくらい、何にもはばかられることはなく自由だったはず。大人になるにつれ、忘れていってしまう純粋な気持ちをなくさないように、取り戻せるようにと歌う。それが、柔らかく包容力のある、女性らしさに満ちた北山由里(Vo/Gt)の歌声だからこそ映えるのだろう。
Foley of Lucent公式サイト

Track.5 /「最高な未来を僕らは待ってる」by わすれなぐさ

wasurenagusa

あの日夢に描いた生活とは裏腹に、いま目に映るのはさえない毎日。そんななか、何があっても幼い頃の心のまま、最高な“明日”という身近な未来を信じている……。繰り返される“待ってる”という言葉から、どんなことがあっても曲がらない、その想いの確固さが伝わってくる。飾り立てることなく、まっすぐに鳴らす音とメッセージ。何もしなくたって明日は必然とやってくる。しかし、“手を伸ばして”“もう一度歩き出すよ”と、信じた未来に向かって少しずつ自ら歩を進めようとしているからこそ、気持ちの強さに説得力を持たせるのだ。
わすれなぐさ公式サイト

Track.6 /「命の証明」by all that jaz:

オザジャ

タイトルからして熱っぽい叫びが詰まっているのが想像できる。大西崇泰(Vo/Gt)が、音楽を辞めようか本当に悩み、苦しんでいたときに書いたという一曲。嫌いな自分をはっきりと認めたうえで、一瞬一瞬、刻んでいく命を全力で生きると誓う。生きる理由を自問自答し、考えた結果どう生きていくのかを自分に言い聞かせる。そんな渾身の作を、久しぶりの流通盤に収めるということ。この音源がバンドにとって転機であることがわかるし、ここからまた這い上がっていくんだという気概が伝わってくる。
all that jaz:公式サイト

Track.7 /「あふれる」by アイノテ

アイノテ

“アイノテ”という、歌や会話などを“繋ぐ”演奏や言葉などを意味するワードをアーティスト名とする彼らが、このアルバムに参加していること自体、なんだかロマンチックだなと思うのだ(名前の由来は知らないけれど……)。男女ツイン・ボーカルの心地よいハーモニーと、その魅力が満ち溢れるメロウなメロディ。それは月が闇を照らすように、柔らかく美しい光を思い浮かばせる。“一緒に見れたなら”“届いたら なんて想う、君もそうかな”と、君とのシンパシーを願う一途さが、儚くてなんとも愛おしい。
アイノテ公式サイト

Track.8 /「終電に乗って」by Crahs

Crahs

宇宙や夢など、シリアスなテーマを持つ曲が多いアルバムのなかで、いちばん日常の風景に寄り添ったCrahsらしい楽曲。音の面でも、肩の力を抜いたサックスの音色が最後のトラックでポップに鳴ることによって、安心感を与えてくれる。“終電”という乗り物は、もう戻らず君という終点を目指すボイジャーと重なるようで。宇宙船はまだ旅の途中なのに、この曲が醸すハッピーエンド感は、不思議と落ち着きがいい。“雨宿りはもう大丈夫”と、その場にとどまらず、ポジティブに前へ——まだ見ぬ君の元へと目指していくのだ。
Crahs公式サイト

届け、Golden Record!

コンピレーション・アルバムでありながら、ある種のコンセプト・アルバムのような一枚。単純に“8つのバンドの楽曲を収録したアルバム”ではなく、収録曲すべてで『Golden Record』を、それにまつわる物語を作っているように感じたのです。

曲順からもいろいろ想像してしまいます。曲調の相性だけではなく、曲に込められたメッセージのリンクや、東京のCuckoo(クーク)から発信し、大阪、名古屋と繋がってまた東京へ戻ってくる流れが象徴するバンドの輪。ここ2、3年、“繋がり”をキーワードに活動し、その可能性を信じ、大事にしてきた企画者のCuckoo(クーク)が、このレコードにどれだけの想いを懸けているかは「Voyager」を聴いた時点で伝わるはず。タイトルだって、自分たち発信で自身と仲間の音を届けようという姿勢にも見えます。

Cuckoo(クーク)だけじゃない。8組が呼応し、一丸となって作ったアルバム。それは、“音を届ける”ことに一途なメッセージ集。実際にボイジャーに積まれたレコードには、音だけでなくさまざまな風景も収められています。これからライブでお客さんと一緒に景色を作っていくことで、音も画も詰まった『Golden Record』を完成させていければ素敵ですよね。

『Golden Record』がひとりでも多くの人と出会い、思い出に残りますように。

リリース情報

Cuckoo(クーク) Presents TOWER RECORDS限定V.A.『Golden Record』
NOW ON SALE
¥1,000(税込)

[収録曲]
01. Voyager / Cuckoo(クーク)
02. Messenger / ドラマストア
03. 桜カルタ / アトリエコード
04. Re:live / Foley of Lucent
05. 最高な未来を僕らは待ってる / わすれなぐさ
06. 命の証明 / all that jaz:
07. あふれる / アイノテ
08. 終電に乗って / Crahs

イベント情報

“Cuckoo(クーク) Presents TOWER RECORDS限定V.A.『Golden Record』Release記念レコ発ツアー”
2015.08.01(土) 大阪・梅田Zeela
2015.08.08(土) 愛知・新栄APOLLO BASE

出演:『Golden Record』参加全アーティスト
※大阪公演のみ、アイノテの出演はございません。ゲストバンドとしてWAR-EDが出演いたします。

ADV ¥2,500 / DOOR ¥3,000
※『Golden Record』封入の割引チケット持参で¥500 OFF

“『Golden Record』発売記念インストアミニライブ”
2015.07.27(月)
TOWER RECORDS名古屋パルコ店
パルコ西館1階イベントスペース
出演:all that jaz: / Foley of Lucent / わすれなぐさ
2015.07.31(金) TOWER RECORDS難波店
出演:Cuckoo(クーク) / all that jaz: / ドラマストア

関連リンク

Golden Record特設ページ

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松井 恵梨菜
  • 松井 恵梨菜
本業である音楽関係の雑誌編集に忙殺されながらも、ライターを目指して勉強中。"ETERNAL ROCK CITY.2012"オフィシャルライターなどの経験あり。難しい評論ではなく、心に伝わる文章が書けるようになりたいです。通称"ぴよ"。