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私自身、21年間の人生を歩んできて幅広い音楽のジャンルに触れてきたと思い込んでいる。ただ、ひとつだけ避けてきたものがある。

それは“ラップ”を多用する音楽だ。

個人的な言い分としては、限られた尺のなかに言葉をつめこみ、平坦な曲調がいまいちピンとこなかった。また、中学時代のちょい悪グループの友人(犬猿の仲)がラップにハマっていたこともあり、偏見を持っていたことが理由だ。ただの食わず嫌いとも言えよう。とにかく“ラップ”というワードを聞くだけで、「あ、結構です」と避ける日々が続いていた。

しかし最近、とあるアーティストに出会ってから人生が変わった。ラップを聴かなければ生きていけない、韻を踏まなければ呼吸ができないような身体になってしまったのだ。あんなにも毛嫌いしていたラップをここまで愛してしまう、自分の心境の変化に恐怖を覚えるほどだ。

そんな私とラップの架け橋になってくれたアーティストを紹介していきたい。

しゃもじはご飯をよそうやつ……?

自らをB級ヒップホップ集団と名乗る「スライディングが普通の歩き方」。
メンバーは
ORKⅡ(MC)
young suck kick(MC)
BIG HEAD(Gt)
EDISON(Ba)
チェロキー(Dr)
Flogマン(Syn)
ill&ill(Sax)
mam(表現)
本田創丸(DJ)
と、かなりの大所帯。

――ちょっと待った! 見慣れないパートの存在に、気づいてしまった人もいるかもしれない。

(表現)

……表現とは一体?

表現パートを担当するmamはライブ中、ステージ上でリュックサックを背負ったまま炊飯器の前に座り込んでいる。一体何をしているんだと近くで見てみると、さりげなくコーラスをしているのだ。ただでさえ大所帯バンドでステージが狭いのに、バスドラムの目の前に座り込み、落ち着かない様子で時々コーラスをする姿は最高にシュールである。スライディングがつくり出す絶妙な雰囲気とライブパフォーマンスを表現するには(表現)なしでは成り立たない、重要な役割を果たすパートなのかもしれない。

演奏陣は激しく動きまわるわけでなく、決められた立ち位置で、淡々と、不敵な笑みを浮かべながら音を奏でる。Ork2の太く安心感のある“イケボ”とYoung Suck Kickの耳奥に響く高い歌声で繰り広げられる「しゃもじ」は、一度聴いたら後世に行っても忘れられないほどの1曲だ。普通の男の子になりたいしゃもじの心境を語り、“しゃもじ ご飯を よそうやつ”と連呼されるサビ部分は聴くもの全てを虜にさせてしまう中毒性抜群のメロディー。「小学校」では“ここのポリ公 a.k.a先公 奴らバビロンの犬 マジ本当イル 六年生のヒロミ君は名札ぜってーにつけないし カッコいい”と、どれもふざけているようで、ふざけていない、秀逸でバランス感のある独特な世界観を生み出している。

スライディングのラップを聴くと、ひとりひとりの細かいパフォーマンスを思い出し、今すぐにライブ会場へ向かいたくなる。彼らのライブを目にした帰り道は皆、“しゃもじ ごはんを よそうやつ”と無意識に口ずさんでいるはずだ。

スライディングが普通の歩き方 / 「しゃもじ」

あの名曲を生んだふたりが再び

YouTubeでtofubeatsの音楽を漁る旅に出ていたら、「tofubeats – BIG SHOUT IT OUT feat,Onomatope Daijin」に出会った。tofubeatsとラッパーのオノマトペ大臣のコンビといえば、iTunes Storeのチャート総合1位を記録した「水星 feat,オノマトペ大臣」でお馴染みの2人。“ダンスをするのが超大事”とストレートな歌詞を叫ぶこちらの曲もかなりイかしている。“ダンス・ダンス・ダンス・ダ・ダ・ダンス”とテンポのよすぎるノリノリな語呂が続き、オノマトペ大臣とtofubeatsの秀逸なラップが吹き込まれるのだ。

オノマトペ大臣
“スタンスがナイスのパンクでラップなヒップでホップのリズムでバウンス”

tofubeats
“ケーブル繋いで電源オン サンプルバラして解体ショー 再び繋げて自分のものにしちゃうならそれが作曲作業”

ぜひ一度、この歌詞を声に出して読み上げてほしい。スラスラと言えるようになったら、次は曲に合わせてみよう。とんでもないフィット感、グルーヴ感に興奮するはずだ。脳みそをグリグリとほじられるような重めの音圧、しびれるビートがハンパなく気持ちがいい。

tofubeats / 「BIG SHOUT IT OUT feat,Onomatope Daijin」

関連して、リズムステップループスが手がける「BIG SHOUT IT OUT」のMIXが私の中でアツすぎると話題に。

オノマトペ大臣とトウフビーツ / 「BIG SHOUT IT OUT(リズムステップループス“ダンスをするのが東大寺”MIX)」

感のいい人はサブタイトルの意味に薄々気が付いているかもしれない。再生ボタンを押すと同時に耳に飛び込んでくる“ダンスをするのが超大事”のフレーズを聴けばわかるはず。

超大事(ちょうだいじ)× 東大寺(とうだいじ)

……なるほど。ずるい。

こちらは本家のものに比べるとかなりPOPな仕上がり。道路のど真ん中にいようがおかまいなし、“ダンス・ダンス”の歌に合わせて高くジャンプをしたくなるくらいにテンションがハイになる。また水星のmix「水星(リズムステップループス_I’m at ホテルオークラ_MIX)」も手がけているので、ぜひ一緒に聴いてみてほしい。

トウフビーツとオノマトペ大臣 / 「水星(リズムステップループス“I’m at ホテルオークラ”MIX)」

ここではラップを取り入れている音楽の中でも、ほんの一部を紹介したまでだ。元々関心がある人もない人も、彼らのラップにハートを射抜かれたなら、その出会いに乾杯したい。2015年も下半期に突入、夏本番を迎える。踏み倒される韻と一緒に過ごせば、最高の夏を迎えられるに違いない!

リリース情報

スライディングが普通の歩き方
1stアルバム『Are you Sure?』

NOW ON SALE
¥648(税込)

[収録曲]
01. Panic Picnic
02. 腐海
03. 小学校
04. action
05. スライディングが普通の歩き方in da house
06. Blackman is Power
07. No love father in blue sky nocturne
08. しゃもじ

tofubeats
メジャー3rd EP『STAKEHOLDER』

NOW ON SALE
¥1,620(税込)

[収録曲]
01. SITCOM(intro)
02. STAKEHOLDER
03. window
04. dance to the beat to the
05. STAKEHOLDER -for DJ-
06. She Talks At Night
07. T.D.M. feat. okadada
08. (I WANNA)HOLD
09. 衛星都市

関連リンク

スライディングが普通の歩き方公式サイト
tofubeats公式サイト

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本木美奈
  • 本木美奈
94年生まれ。通称もっきー。音楽ライター。脚本勉強中。「音楽」と「ドラマ」と「犬」をこよなく愛しています。